現在、社会全体で、社会人の「学び直し」に注目が集まっています。芸能人の中にも大学へ通い直す人が現れ、より関心が高まっているといえるでしょう。では、学び直しとはどんな魅力があるのか、学び直しをした人はどんな目的があるのかを、詳しく解説していきます。
社会人の学び直しとは
そもそも、社会人の学び直しとはどんなものなのでしょうか?結論からいうと、社会人として一度就職した後に、再度高校や大学、大学院、専門学校などに通い、もう一度勉強しよう、というものです。
学び直しは「リカレント教育」とも呼ばれ、海外でいち早く取り入れられていました。学習、就職、引退という一般的な流れにおいて、学ぶことと働くことの順序を決めつけないことで、より多様性のある社会になるという考え方です。似たような言葉で「生涯学習」がありますが、学び直しとは違います。学び直しはスキルアップやキャリアアップを目的に行われますが、生涯学習は趣味やスポーツなど、勉強だけではないものも含まれています。
注目が集まっているのは、学び直しを政府が主導しているという要因もあるでしょう。日本は諸外国に比べ、学び直しの文化が未だ定着していません。しかし、一部の人の中ではすでに実行している人もいれば、実行してみたいと思っている人も多いのです。
ではなぜ学び直しをしたいと考えるのでしょうか?
学び直しをする目的
先ほど、学び直しの目的は、スキルアップやキャリアアップだとご紹介しました。もちろん、現在働いている中で足りない知識や技術などを補い、よりハイクオリティな仕事をしたいと考えている方も中にはいるでしょう。
しかし、そういったスキルアップだけが目的ではないようです。例えば、現職とは全く異なった分野を学んでいる方もいます。そういった方は、勉強が好き、新しい知識を身につけるのが好き、というように、今後何かに活かすのではなく、知識を増やしたいからという目的の方もいます。
他には資格などを取得して、いい条件で転職したい、という方も。現職に不満はないけれど、いつか他の分野に挑戦してみたい、という方は1から学び直して資格を取得し、転職の準備を整えるという場合もあるようです。
学び直しをするメリット
では、学び直しをすることでどのようなメリットがあるのでしょうか。学び直しには、大きく分けて3つのメリットがあります。
1つ目のメリットは、自分の専門分野やスキルを更新できることです。新しい情報を身につけて時代の変化に対応できるようになることで、自分の仕事の質や効率化につながったり、キャリアアップや転職のチャンスを広げたりできます。
2つ目のメリットは、自分の興味のある分野を徹底的に学べることです。自分の知的好奇心が満たされるのはもちろんですが、専門的に学ぶことで新しい視点や発想でものごとを見られるようになるでしょう。また、学ぶ過程で様々な人と交流することができ、自分の好きな分野から人間関係を広げることも期待できます。
3つ目のメリットは、自分の人生に意味や価値を与えられることです。新たな知識を得ることで、自分の成長や発展に寄与できます。そのほかにも、社会や他者に貢献することができたり、自分の自信や満足感を高められたりするでしょう。
以上のように、リカレント教育をするメリットは多くあります。社会人になってからも学び続けることは、自分自身や周囲にとって有益なのです。
学び直しで設けられている支援制度
厚生労働省は学び直しを推奨しており、労働者向けの支援や事業主向けの支援など、様々な支援策を講じています。今回は、労働者向けの支援をご紹介します。
教育訓練給付金
教育訓練給付金とは、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講し修了した方に、その費用の一部を支給する制度です。この制度は、働く方々の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図る目的があります。
対象となる教育訓練は、そのレベルや内容に応じて「専門実践教育訓練」「特定一般教育訓練」「一般教育訓練」の3種類に分かれています。そして、それぞれに異なる支給率や上限額が設定されているのです。
教育訓練給付金を受けるには、一定の受給要件を満たす必要があります。受給要件には、雇用保険の支給要件期間、被保険者資格の有無や喪失期間、前回の教育訓練給付金受給からの経過期間などが含まれています。
教育訓練給付金の支給申請は、お住まいを管轄するハローワークで行うことができます。
高等職業訓練促進給付金
母子家庭の母や父子家庭の父が、看護師や介護福祉士などの資格をとるために、養成機関で修業するときに、給付金がもらえる制度です。修業中の生活費や入学費用の一部が支給されます。
対象となる人は、児童扶養手当をもらっているか、それと同じくらいの収入で、子どもを育てながら仕事と修業をするのが難しい人です。対象となる資格は、就職に役立つもので、1年以上(令和3年4月1日から令和5年3月31日までに修業を始める場合は6か月以上)のカリキュラムがあるものが該当します。
働きながら学び直しができる
「大学に通うということは仕事を辞めなくちゃいけないの?」と思う方もいますよね。しかし、現在では働きながら学び直しができる学校があるのです。その一つが、通信制大学です。
通信制大学は、多くの授業を通学せずに受講することができます。そんな通信制大学のうちの一つである、社会福祉士の資格取得が目指せる東京通信大学の社会福祉コースは、普段の授業だけでなく、試験もオンラインで行うことが可能です。資格取得には実習やスクーリングが必要になりますが、全国の主要都市で実施しているため、行きやすい場所を選ぶことが可能。負担を最小限に抑えることができます。働きながら勉強している学生も多く、無理なく資格取得が目指せます。
働きながら通学できるとはいえ、仕事と勉強の両立ができるよう、きちんとスケジュールを組み、自分で計画的に勉強をしていく必要があります。自由度が高い分、自分で管理するべき点も多いので、準備と覚悟を決めて入学しましょう。
途中であきらめてしまっては、せっかくの学び直しの機会がもったいないです。どんなスケジュールで学ぶのか、働きながらどう学んでいくのかをしっかり計画し、今後の人生が豊かになるような、充実した学びにしてくださいね。