2019年4月、日本の学習制度に新しく専門職大学制度というものが導入されました。『大学?専門学校?どっちなの??』となりやすいこの学校制度。まだどんなものかわからないという方が多いですよね。
簡単に説明すると大学と専門学校の良いところを取った中間的ポジションの大学という位置づけで、現時点ですでに開学が決まった学校もいくつかあります。
専門職大学とは?
専門職大学とは、一般的な大学のように基礎教養も学びつつ、特定の分野についての専門的な知識や技能の習得も目指す教育機関です。基本的には、入学後1~2年は基礎教養の授業、その後各分野に特化した授業というようにカリキュラムが組まれます。
専門学校との最も大きな違いは、卒業後に「学士」の学位を取得できる点です。学士の学位を取得すると、就職や転職などの際、大卒者と同等の待遇を受けることができます。企業によっては大卒者と高卒者・専門卒者で待遇に違いがあることもあります。専門職大学を卒業することで、そのような待遇面でのハンデを減らすことができます。
大学との大きな違いは、特定の分野に関してより実践的な教育を受けられるという点です。専門職大学は、産業界と直結している教育機関。卒業後すぐに現場で活躍できる人材の育成を目指し、現場に則した実習を積極的にカリキュラムに取り入れています。
このように専門職大学は、専門学校と大学、それぞれの特徴を併せ持っています。これまでになかった、新しい制度の教育機関です。
専門職大学制度が導入された理由
例えば今の時代、AIが進化して仕事の一部が減るだとか、少子・高齢化の影響で介護問題が深刻化してくるとかといった、目まぐるしい時代の変化を感じながら将来を思い描く学生は多いでしょう。なんとなく、将来に不安を感じる人は少なくないと思います。そんな変化が進む社会に対応すべく、専門職大学は作られました。
専門職大学では、理論と実践の両方を学ぶことにより、主体的に活躍できるプロフェッショナルの育成を目指しています。ある分野に関して技術面だけを学ぶのではなく、企画やマーケティング、経営に関する知識など、職業人として必要な能力を体系的に学ぶことができるので、応用力が身に付き特定の業務を越えて活躍する人材となることができます。
専門職大学の目的は、『実践力と創造力がある人材』を育成することにあると言います。今の若者はロボットのように働く量産型になるのではなく、これからは問題解決力が必要になるのです。今までと違う状況や問題に直面した時に、自発的に『こうすればもっと良いのでは?』とアイデアを出し、実践していく能力を育成する専門職大学は、今後期待されることとなるでしょう。
どんな専門職大学があるか
専門職大学制度は始まったばかりで、学校の数はまだ多くありません。『どんな専門職大学があるの?』と思う方も多いですよね。
開学が決まった専門職大学の中でも、大々的に宣伝を行っているのがモード学園のグループ校、国際ファッション専門職大学です。この専門職大学では、多様化する国際社会において活躍できる人材を育成するために、ファッションとビジネスを融合した実習を集中的に行っています。国際ファッションの分野では基本となる、洋服のデザイン、英会話などの基本的なことから、国内外のファッション企業やブランドと提携し、実際に現場で実習を行うことで実践型の人材育成を行います。
専門学校とも大学とも違う、新しい学びの環境、専門職大学。今の時代の流れに則した教育制度であると言えます。事例が少ないのでまだまだ専門職大学は未知の領域ですが、将来の卒業者たちがどんな活躍を見せてくれるのか、今後期待です。各分野の第一線で活躍し、世界に羽ばたくような人材が誕生するかもしれませんね。
更新日:2021/11/12